ダウンタイム 第1回 【全4回 】

矢野沙織 JAXX Village | FAN COMMUNITY

2026/10/02 20:00

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 とうとうNetflixに加入した。
 「サクッと」「いつでも」「気軽に」「なんでも」が映画に波及することには嫌悪に近い感情があり、とくにNetflixの「ドラマ形式」には、以前このコラムの中の「最後の資産」で語ったことが奪われるんだと粘っていた。
 しかしあまりの評判にネトフリデビューをした。

 すると万事ああだこうだゴネる奴ほどハマってしまうの型に一致し、寝ずに全て連続して視聴した。

 ではその感想や知見を語る。

 まずNetflixドラマ「ダウンタイム」は、美容整形にまつわる患者、医師、利権等を主人公医師の目線で描かれるドラマである。
 ほかに本作は実際の美容整形外科医の監修があり、今までの「整形しすぎで人生狂っちゃう」的なつまらないヒューマンドラマとは一線を画している部分が作品のうちのかなりのウェイトを占めている。
 かといって「整形反対」あるいは「やっぱ美容整形っていいね」の二極を謳うだけの作風でもなく、日本社会に蔓延るルッキズムと物価高から見る問題提起作品である。

 始まるとまず目を引くのは徹底的な現実感を俳優に課している点だ。

 開始数十秒で優れた特殊メイクにお手上げはするものの、注目したいのは毛髪、もっと言うと髪質だった。

 こんなすごいウィッグ技は見たことがない。

 やけっぱちな役の俳優には「そういうやつっぽい毛質」だし、一点至上主義の依存体質な役回りの俳優にはやっぱり「そういうやつの毛質」を始終徹底している。
 全部がウィッグ対応なわけではないだろうから正解には「ヘアメイク部門」がすごいのだ。
 目立つ特殊メイクも見ものだが、この地味な「毛質」の徹底が全てに現実感を与えていた。

 私は小さな頃からなんとなくうねって、なんとなくパサつく髪で、毛量は多く、一本一本がめちゃくちゃ太い。そして硬い。
 そうなると手触りはゴワゴワとかそんな感じだ。
 本作とは関係ないが、私は「髪質改善」「髪の整形」と呼ばれるほどの縮毛強制施術を受けていたことがある。
 あれはすごい。
 サロンごとに調剤や技術が違うらしいので全髪質改善があれほどの効果があるとは言い切らないが私がたまたま行ったサロンは、本気で髪質が変わったと錯覚するまでの施術技を持っていた。
 それは艶々で柔らかな毛質。
 単純な縮毛強制とはまるで違うのは「柔らかな」という点だ。
 これは触らなければわからないのではなく、映像にも画像にもちゃんと柔らかさが映るのだ。だから実際に柔らかいことのすごみを体感した。
 当然施術料金は2022年頃当時で7万円。
 私が美容室で支払う金額とは違う額だった。今はもう少し高くなっているだろう。
 ただしズボラな人(私)は毎月行かなくても施術部位はずっと矯正が効いているので、なんとかやりくりしながらしばらく通ったものだ。

 これを前例に何が言いたいかといえば、心身共にバランス良く顔面課金するようなやつは髪にも絶妙に課金するだろうということ。
 そういう視点で見ても世渡り上手で適当な損得で動く今風の美人美容クリニックのスタッフの髪質はあの感じであった。
 
 「バランス」から見る人物像の解像度が唸るほど高いのだ。

 おっと、本題に入る前にあっという間に長くなった。次号へ続く。

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